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ReguRegu「薔薇色譚」。
※ネタバレを含む感想です。


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山にある、薔薇工場のお話。
その街のお花屋さんには、かつて色とりどりの薔薇が売られていた。
それは、山の上にある薔薇工場から出荷されていた薔薇。

白い薔薇が工場に入っていき、薔薇たちが口々になりたい色を言う。薔薇たちの声が聴こえる職人がその声を聴いて、なりたい色にしていくのだ。

でもあるときから、その薔薇工場からは真っ赤な薔薇しか出荷しなくなった…。



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口々になりたい色を話す薔薇たちがとても可愛らしい。
薔薇の声を聴くことができる、そのことに男も少し誇らしげだ。

男が仕事をしていると、背後から声がして美しい女が現れる。そのとき、ちょっとチクッとした。
私は、「孤独」であることが辛いことだとは思わない。だから孤独な仕事をしている男が、その仕事を気に入っていることに安心している。
でも女が登場したことで、ああ、この女にかき回されるのだと思ってしまい、胸がチクッと傷んだのだ。

なんとなく、頁をめくる指先が重い。

思えば、ReguReguはじめての漫画「流星譚」の男なんて…。

あれっ?



薔薇工場の男は、はたして魅了されてしまったのだろうか。これがもしカラーの作品だったとしたら、男の目は何色だったのだろう。


あの薔薇の赤い色は、どうやって赤くなっているのか。赤い色は永遠なのだろうか。
あの工場の中に足を踏み入れたら、どんな光景が広がっているのだろう。

だろう、だろう、だろう…。

ところで、声を聴いてもらえなくなった薔薇たちはどう思っているの?



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「薔薇色譚」を読んだあと、以前の作品を読み返したくなった。でも第4号だけ見当たらなくて、第3号の「流星譚」、第5号の「離影譚」を読み返した。

ReguReguの映像作品には、同じ人形が別の役で登場することがある。同じ監督の作品に同じ俳優、女優さんが役を変えて登場するように。
ReguReguの漫画は、いきなり絵を描くのではなく、人形を作るところかららしい。
だから、映像作品と同様、同じ姿かたちの人が登場してもあまり気にとめていなかったのだけど、「薔薇色譚」を読んでいて、はじめて、あれっ?と思った。

もしかして、これまでに登場した「女」は、モデルになった人形が同じ、なのではなくて、「同じ人物が登場している」…?
だから、一気に読み返したくなったのだ。

いや、今更ですみません…。
もしそうなのだとしたら、この女はなんでそんなことしているのか…そのことが「怪奇」なのかも。

しかしほんと、声を聴いてもらえなくなった薔薇たちがね。
このお話のほんとうの主人公はその薔薇たちかもしれないな、とも思う。
その声を殺されつづけているのだから。
もしかしたら、あの血のように鮮やかな赤い色は、薔薇たち自身の血の色なのかもしれない。



あ、そうだ。この漫画、はじめての版画だそうです。原稿もいつか見てみたいなぁ…。
年末恒例の個展、また観に行きたい。

私はほんとうにReguReguの作品が好き。

観る人によって、「怖い」だったり「気味が悪い」だったりするのかもしれないけれど、わたしにとっては「闇の美しさ」だ。

みんな明るい陽のあたる場所を、気持ちよさげに歩いているけれど、いつだって陽の明るさの分だけの「闇」がついて歩いているのだ。
それに気づかない者もいれば、気づいていながら目を逸らす者もいるかもしれない。
でも私は、かつては恐ろしかったその闇を、今では少し愛おしく感じる。

どんなところにも美しさは存在するし、愛おしさも存在すると思う。
ReguReguの作品は、それを証明してくれていると思う。